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World War 3レビュー、真の現代戦シューターとなりえるのか

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※11月5日時点でのレビュー

 

近年、銃器会社のライセンス料の問題や、乱射事件の多発による世間の批判を恐れているから(UBIの作品を見るとそうとは思えないが)と噂され、『Battlefield』や『Call of Duty』(以下BFとCoDと省略)といったAAA級タイトルの大規模な現代戦を取り扱う作品は少なくなっている。CoDの新作はスラストジャンプがない近未来戦となり、BFの新作も第二次世界大戦に原点回帰したため現代戦を求めるユーザーは大いに落胆していた。

 

その中で「真の現代戦」を謳って発表され、多くの期待を寄せられていた『World War 3』が、10月20日にアーリーアクセスとしての配信を決定した。ところが10月20日当日、配信予定の2時になっても販売が開始されず、その後配信されたもののロードが長く、サーバーにも接続できずまともにプレイできないという批判が多く炎上したが、22日のパッチで解消されたようで購入をためらっていた私も購入することにした。

 

大ヒットした現代戦シューターのBF4をリスペクトしている部分が多く、軍や軍事産業と協力した経験を活かしてよりリアルな「現代戦」を目指して開発された本作、3時間ほどプレイして感じたことや様々な部分を見てレビューしようと思う。

 

 

 

 

 

 

最初にこのゲームについて説明しておこう。

 

今作のマルチプレイのモードは現状一つだけ(モードの追加も予定している)で、BFのメインモードのコンクエストのように、何か所かに分かれた目標を奪い合い、最終的にチケットが5000(パッチで4000に変更)に達するか、50分(パッチで45分に変更)の試合時間の終了時にチケットが多い方勝利となる。

 

目標がA,B,Cとあり、その中でA-1,A-2と一つの目標がさらに二つに分かれているが、システムがよくわからないため目標を分けている意味はあまり感じられない。そのため、殆どのルールが一緒なためBFのコンクエストと似た感覚でプレイすることができる。

f:id:Atsuage:20181105201235j:plainかなりBF4をリスペクトしていると感じられるマップとスポーン画面

 

 

カスタマイズは豊富で、装備は武器はもちろんグレネード、防弾プレートもカスタムでき、BFでおなじみのガジェットも一つしか選べないが、兵科などに縛られず回復キットや弾薬バッグ、対戦車地雷などから選ぶことができる。武器は2つの枠にアサルトライフルからRPGまでの殆どの銃種の中から選べ、軽機関銃RPGというガチガチの重装備も可能だが、重量の概念がありLIGHT、MEDIUM、HEAVYに区分され、あまり重たいものばかり選んでしまうとHEAVYとなってしまい移動速度が落ちてしまう。

 

 

 

UAVや砲撃支援、戦車などのビークルは、CoDのスコアストリークと同じように戦闘中にスコアを貯めて要請する(デスしてもスコアは減らない)。これらもカスタマイズすることができ、より戦闘能力を上げたり防御力を高めることができるが、カスタマイズをすると要求されるポイントが高くするようにしてバランスを取っている。

 

f:id:Atsuage:20181103112242j:plainロードアウト毎に自分好みのセットアップが可能

 

 

 

 マップは現在実装されているものは各都市をモデルにしていて、現代の市街地戦という舞台の雰囲気はかなり良い。

 

f:id:Atsuage:20181104215313j:plainモスクワの赤の広場、雰囲気は抜群だ。ベルリンもあるのだがなぜ両方の首都が戦場になっているかなどは気にしてはいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実際にマルチをプレイした感想に入るのだが最初から全体的な感想を言うと、

撃ち合いや目標の確保、防衛などの通常の戦闘は楽しめるが、どちらかのチームが押し始めると極端につまらない

 

 

確かに大本のゲームプレイはBFのコンクエスト同様、仲間と協力しあいながら敵と戦い目標を奪い合うという楽しいものだ。しかし、本作はまだアーリーアクセスというところもあるが様々な部分の粗や仕様が際立って相互作用を引き起こしてしまい、現在はまだ楽しく何時間も没頭できるゲームプレイにはなっていない。

 

 

まずFPSの肝ともいえる撃ち合いなのだが、防弾プレートや部位のダメージがまだ最適な調整がされていないのか、防弾プレートがかなり強力になってしまっていて上半身を撃っても全然キルが取れず撃ち合いに負けてしまうという状況が多く、下半身を執拗に狙わないといけなくなってしまっている。これらと銃の反動の大きさも相まって本作での頭出しは非常に強力だ。

 

そのため、今作の撃ち合いは他の作品と比べると純粋に楽しめるものとはまだ言えない。部位ごとのダメージを決めるか防弾プレートの防御力を下げるなどの調整が欲しいところだ。

 

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キルされるとダメージ分布を見れるのだが、プレイしていると殆どの主要なダメージが下半身以下。

 

 

 

次に試合なのだが、まず長い。調整中ではあるものの、チケット上限に達して試合終了はまず無く、試合時間終了時のチケットの差がほぼ勝敗を決めている。おかげで最初からプレイしているとほぼ40分ぶっ通しでプレイしていなければならないため、筆者はまだ若いが非常に疲れる。試合も楽しいと思える部分が少ないためなおさらだ。

リアル寄りのゲームが長時間になることが多いのは承知だが、リアルとカジュアルの間のゲームを目指すとも明言していたため、チケット数か試合時間のどちらか、あるいは両方を少なくしてほしいとは思う。

 

 

 

筆者は勝敗はあまり気にせず遊ぶタイプなのだが、本作の勝敗はほぼ試合の最初の10分間で決まると言っても過言ではない。つまり、一度どちらかが優勢に立つと劣勢側が逆転できる可能性は限りなくゼロに近い。プレイしていても勝ち戦か負け戦、もしくは全目標占領されたままのワンサイドゲームばかりのようにに感じた。

 

原因は、筆者は本作の目標の占領の速さとスポーンシステムにあると考える。まず占領の速さだが、4,5人で占領しているとそれなりの速さになるが、1人の場合だと占領に2分はかかると感じるほどの速さだ。

スポーンシステムなのだが、2つの自陣スポーンと攻撃されていない占領している目標、または分隊長に、デスしてから20秒程でスポーンすることができる。

そう、この二つが作用して試合の勝敗はほぼ最初に決まってしまうのだ。

 

優劣が決まってしまうのは仕方がないだろう。そして、劣勢になると目標を奪い返して巻き返そうと考える。だができないのだ。

 

 

先ず、殆どの人は真正面の目標を奪取しようと考えて果敢に前線に突撃するが、敵はもちろん最前線の目標でスポーンできるため突破は難しい。そして数を減らせず敵の波に押されてどんどん前線が押されるか、防衛体制が作られて拮抗したままになる。

 

ならばと空いている前線の後ろの目標を取ろうと裏取りをして1人で占領しようとすると占領が遅すぎ、スポーンの不便さや遅さ、ミニマップがUAVを出さなければ非表示ということもあり味方が気付いてくれて増援に来る前に大体敵に潰されてしまう。

 

そして、極めつけはポイントを使っての要請だ。優勢な方がポイントが多くもらえるのは想像できるだろうが、それが優勢な方をより優勢にしてしまっている。砲撃支援やUAVなどはまだ怖くないが、戦車などの兵器がかなり強力で、複数人でRPGを撃ち込まないと歩兵は太刀打ちできず、一方的に蹂躙されるほどだ。

 

 

 優勢な側に立っていても、向かってくる敵をひたすら倒し目標を全て奪ってしまうと、ずっと向かってくる敵を倒すか、たまに目標に敵が入ってくるのを掃除するだけのもぐら叩きのようなつまらないゲームになってしまう。BFのようにいつの間にか目標の過半数が奪われていて、敵が巻き返してくるような熱い駆け引きもないためとても退屈だ。

 

 

遊んでいる感覚で言えば、ただただマップが広いCoDをプレイしているといった感じだ。

 

 

このことを不満に思いフォーラムに占領速度の改善を書き込んだ。支持する意見ももらえたが、「リアリティだ」「チームプレイをしろ、そうすれば速度は気にならない」という意見が多く、改善の見込みはないだろう。となるとスポーン速度の改善か、スポーン場所の増設、分隊全員の場所でのスポーン可能がこの問題を解決しうるカギになるだろう。

 

 

 

 

 

 そして、本作はリアルな現代戦を謳っているのだが、そのリアリティにも疑問が残る。

 

 

ゲームプレイに関しては、CoDと『Arma』の中間のカジュアルさとリアルさと公言していたため、口出しはしないでおきたい。

ソース元:

fpsjp.net

 

 

だが、疑問が残るのが装備品などの考証だ。筆者は専門家といえるほどミリタリーに詳しくはないが、突っかかるところが多々ある。

 

 

まず、本作の舞台は架空の第三次世界大戦であり、マップのオブジェクトをみるに2026年に起きていると思われる。

 

銃火器は、ロシアの最新鋭の「AK-15、PL-14」や、ポーランドの最新鋭の「MSBS、PM06」など第三次世界大戦にふさわしいラインナップになっている。

 

個人の装備も、スペツナズがいまだにAltynヘルメットを使用しているという違和感はあるが、まだ許容範囲内と言える仕上がりだ。

 

しかし、問題は筆者も少しは詳しい陸上兵器だ。

MBTでドイツの「レオパルト2A4」、ロシアの「T-72」というなぜか一世代以上前のものをピックアップしている。確かにまだ使われてはいるし、カスタマイズで増加装甲などの近代化改修はできるのだが、なぜ最新で第三次世界大戦という舞台にも相応な「レオパルト2A7」、「PL-01」、「T-14アルマータ」などを実装しなかったのかとても疑問だ。

 

 

一世代前にしてカスタマイズ要素を多くしたかったという気持ちが分からなくもないのだが、個人的にはかなりマイナスとなるポイントだ。

 

リアルな現代戦と謳っているため、もっと第三次世界大戦という大規模な現代戦の雰囲気づくりに力を入れてほしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

さまざまなところを批評してきたが、好評したい部分もある。

 

カスタマイズの豊富さは、『Escape from Tarkov』並のリアルさと豊富さとまではいかないが、BF4などのほかの作品は優に超えていて、カスタマイズをしているだけでも楽しめる。現在ではクレジットを使用してのアンロックやカスタマイズは実装されていないため、かなり自由度が高い。

 

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兵士や兵器、銃を事細かにカスタマイズが可能、これだけでもボリュームがある。

 

 

ゲームプレイも、遊んでいて楽しくないところがあるわけではなく、フレンドとワイワイ遊ぶことはできるので楽しむことはできる。

しかし、BF4が好きでBFVのハードコアさが合わなかった人には、こちらの方が幾分はハードコアなので、あまりBF4と似たプレイ感覚は期待しない方がいい。

 

 

 

 

最後になるが、今すぐやりたい!という方は止めはしないが、まだまだ行く先を見守らないといけない作品だろう。しかし、元のゲームプレイは磨けば光るもののため、無料の追加コンテンツと、コミュニティと協力した調整を行うと発表していたため、まだ期待を失うには早いだろう。